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第二章
日曜日は朝からとてもいい天気だった。まさに、遊園地デート日和だった。
苦い初恋の後、恋愛と縁のなかった僕が、女の子とデートするために日曜日の朝から電車に乗っているなんて、不思議な気分だった。
遊園地のゲート前で、彼女は待っていた。
「おはよう、西山さん」
僕は声をかけた。
「遅い」
彼女は不機嫌そうに言った。
「でも、待ち合わせの時間より前だよ」
僕は時計を見た。間違いない。待ち合わせの10時より5分も早い。
「日記のK君は、早めに来た真帆よりもさらに早く来て真帆を待ってたのよ」
「そんなの、日記を読んでない僕にはわからないよ」
「あなたは真帆の理想の人なんだから、真帆の理想どおりにできるはずなのよ」
彼女はそう言うとさっさと歩き出した。
僕は慌ててついて行った。
「それから、私のことは西澤って呼んでね」
それも日記に書いてあったのかと聞こうと思ったが、やめておいた。
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