薄幸女とイケメン占い師

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(占いがあんまり当たらなくても、女性客のリピーター多そう……) 彼が「平さん? 俺、占い師のヒトハです」と笑顔で話しかけてきた時、私は目をかっぴらき、小さくだがジャンプまでしてしまった。 あぁ今思い出しても、みっともなくて恥ずかしい。 「私は運が良くない人間、ですか……。そんな気はしていました」 自分でも薄々そうなんだろうなと感じていたことだったが、改めて他人から言われると心がしんどくて、目が泳いでしまう。 「あっ、心配しなくても大丈夫ですよ。ラック値が良くないといっても、死んじゃうほど悪くはないからさ」 「はぁ」 軽いノリのフォローに対し、私は棒読みな相槌をうつ。 ねぇイケメン占い師さん、死ななきゃいいってもんじゃないでしょ。 寿命まで死なないだけの、それ以外の幸せがろくにない、常に低空飛行な人生なんて嫌すぎる。 そう思ったけれど、言いはしない。 だって彼は占いの結果を伝えているだけなのだ。 よって、傷ついたからといって言い返すのは、お門違いというものだ。 「それに、運気を上げる方法だってちゃんとあるんだから」 「どうすれば運気が上がるんですか?」 「やり方は色々あるんだけど簡単なのは、部屋を綺麗に整理整頓して、健康的な生活をするようにする。あまりくよくよせず、ポジティブを心がける。とかかな!」 「なるほど」 「笑っちゃうくらい棒読みな返事じゃないですかー。全然『なるほど』と思ってくれないとは、困ったなぁ」 「そんなことないですよ」 彼が提案してくれた運気の上げ方は、まことに理にかなっている方法だと思う。 ただそんなことは言われずとも分かっているので、ガッカリしただけだ。 (そんな真っ当で王道な運気の上げ方の助言なんて、『占い師』に求めてないってだけの話! 高額な壺や数珠を売りつけてこないだけ、良心的で信用に値する占い師なのかもしれないけど。 でももっとこう……他にあるでしょ?!)
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