1.突然の始まり

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「樹くん。樹くんはこういう結婚とかって憧れないの?」 「全然」 大学時代の友達の結婚パーティーで一緒に出席していた女性にそんなことを聞かれた。 昔からその友達と共にお世話になってる先輩の店での三次会というのもあって、かなり皆テンション上がって出来上がってる状態。 だけど、オレは酒が強いせいか、そこまで酔うこともなく、しかもバカみたいな盛り上がりまではツイていけなくて少し冷静に飲んでいる。 「樹くんモテそうだから、やっぱり結婚願望とかはなく今を楽しむ感じ?」 「まぁ。そんな風に考えた相手これまで一度もない」 こうやって結婚してるヤツを見ると、幸せそうだなとは思うけど、今まで付き合って来た彼女にはそんなこと一度も思いもしなかったし、そもそもそこまで誰にも本気で好きになったこともなかったし。 「じゃあさ、今を楽しむ相手、私なんてどうかな?」 まただ。 こういう場があると、いつもこういう軽い女からのアピールばっかりでうんざりだ。 オレそんな軽い男に見えるワケ? まぁ確かにもっと若い時は、そういう誘い受けたら拒むことなく乗って楽しんでたけど。 っていうか、誘われたら別に下心しかなかったし拒む必要もなかったワケで。 その雰囲気やイメージがまだ残ってるとか? だけどあの時からオレはこういう誘いに乗らなくなった。 いや、そういうことにも正直興味がなくなったというか。 誰とでもという気持ちが一切なくなった。
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