1.突然の始まり

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「透子ちゃんいつも残業後で疲れた顔は見せるけど、いい顔してるもんね」 彼女の方で話が進んで行って、修さんはオレと話終わった後、彼女に声をかける。 「おっ、修ちゃんいいこと言ってくれるね~」 今日会社休みなのに出勤? しかも残業? どこまで仕事好きなんだか。 さすが彼女らしいと思って話をこっそり聞きながら、そんな変わらない彼女にまた微笑ましく思う。 「やっぱ仕事好きなんだよね~」 「透子ちゃんあんな感じはもう羨ましくなくなった感じ?」 そんな彼女にオレが参加してる三次会のパーティーの方を指差して、修さんがさり気なく聞く。 そっか。彼女の年齢的には考えてもおかしくないのか。 今、彼女に特定の相手がいないことは、修さんに探りを入れて聞いてるから知ってはいるけど。 実際女性としてやっぱり憧れているのかどうか、彼女ならやっぱり気になってしまう。 「ん?何?結婚式?」 「あ~オレの知り合いの結婚式の三次会」 「え!そうなんだ!じゃあ、私お邪魔じゃん!」 「いやいや、内輪だけでやってるパーティーみたいなもんだし、奥の場所貸してるだけだから気にしなくていいよ」 「そ?なら私は助かるけど・・・」 こんな風に美咲さんの親友でもある彼女は修さんとも気心知れた仲のようで、気楽に話している。 「どうだろう。見てる感じは幸せそうでいいな~って思うけど憧れることはもう今はないかも」 よっしゃ! とりあえず今は特定の相手もいないし、そういう願望も抱いてないとわかって、つい心の中でガッツポーズをする。 まだオレの存在を全然認識もしてもらってないのに、頑張らないまま、誰かと結婚されてもそれはそれで困る。 「なんかさ、全然浮かばないんだよね、そういう景色。もうあれからそういうなの正直一切考えなくなっちゃったし。ずっとさ一人でいると一人でいるのが楽になって、誰かと過ごす時間が息苦しくなる」 彼女の今の気持ちが知りたくて、つい傍で聞き耳を立てて聞いてしまう。 彼女が一人でいたいと思ってる今。 オレは彼女にどうやって近づいたらいいんだろう。 誰かと過ごす時間が息苦しい、今までのオレならその気持ちも理解出来た。 でも今この彼女を好きになって、彼女ともしそんな時間が過ごせるなら、きっとそんな時間もオレには愛しく思えそうな気がしてならない。 そんな時間も、いつかのそんな景色も、オレなら変えられるのかな・・なんて、あり得もしないことを考えてしまうほどに。
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