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「でもたまにはドキドキしたりキュンキュンしたり。そんなトキメキだけは味わいたくはなるかも。矛盾してるね~」
すると、その後彼女はそんな意外なことを呟いた。
え?そういう気持ちは欲しいなんて思うんだ。
なら、恋愛する気持ち、完全に否定はしてない感じ?
でも彼女がそんなトキメキが欲しいのなら、せめてそんな感情だけでも彼女にあげたい。
ていうか、オレがこの人をドキドキさせたりキュンキュンさせたい。
そしたら、もしかしたらオレを意識してくれるかもしれない。
彼女の中にオレという存在が入り込めるかもしれない。
「ふふっ、なんかそういうとこ透子らしいね~」
「修ちゃん、そんな都合いい人いない!? 私にトキメキだけくれるような人!!」
「ハハッ!なんだよ、それ!透子ちゃんのタイプで都合いい男そんな簡単に落っこちてねーし」
「だよねー!」
ねぇ、それオレじゃダメ?
あなたのタイプかどうかもわからないし、実際トキメいてもらえるかもわからないけど。
でもあなたの望むことなら、オレがなんだってしてあげたい。
「樹。これチャンスなんじゃねぇの?」
「え?」
すると、さっきまで彼女と話していた修さんがオレにこっそりそう話かけた。
「透子ちゃん、トキメきだけでも欲しいって言ってんじゃん。ようやくこれお前声かけるチャンスなんじゃないの?」
「えっ!今ッスか!?」
「お前今まで透子ちゃんにそう出来るように頑張ってきて、ようやくその段階まで今来れたんだろ?」
「あっ、はい・・」
今まで彼女に出会って好きになってから5年。
彼女の隣にどんな形でも立てる男になれるように、仕事でも成果出して頑張って来て、ようやく彼女にオレの存在を知ってもらえる段階まで自信をつけた。
今?このタイミングなら、彼女に存在を意識して何かを始められる?
だけど、すでに彼女のそんな話を聞いて、すでに修さんに言われるまでもなく、多分もうオレは彼女への気持ちが抑えられそうになかった。
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