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ねぇ、遼くん。
遼くんは大学生から会社員になってスーツ着て大人みたいに、じゃなくて実際に大人なんだけど。この六年、身長はほとんど変わってないよね?
でもわたしは三年生のあの頃より三十センチも伸びたんだよ。それだけ遼くんに近づいてる。頑張って追いついて来たの。
遼くんが、わたしを待っててくれたわけじゃないくらいちゃんとわかってるよ。いくらなんでも夢の世界に浸ってるだけじゃないから。
それでも、心の中でくらいそう思っててもいいでしょ?
待ってて、って言っちゃってもいいのかな。
自分から切り出すことが恥ずかしいとかは全然ないの。ただ、それで遼くんとの優しい関係が変わるなら言いたくない。だって変わらない自信なんてわたしにはないから。
だけど、本音は「もうちょっとだけ足踏みして待ってて」なんだ。
──十五歳になったわたしは、いま戸惑いの真っ最中。
~END~
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