もう少しだけ…

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一晩考えてみたが、やっぱり“断る”という一択しか見つからなかった。 メリットが何もない。 教師と生徒という関係で、もしバレると大変な問題になる。 俺の立場だけじゃない、早瀬も学校を続けにくくなるだろうし、罰則を与えられる可能性だってある。 それに、俺は今年で31歳だ。 18歳になるか、なったばかりの早瀬とは10歳以上の差がある。 下手をすれば、早瀬の両親の方が俺と年が近いのだ。 そもそも、俺のことを好きだと言ってくれているが、理由がわからない。 何の取り柄もない、大してかっこよくもない、冴えない男の何処に惚れたのだろうか? たとえ何の取り柄もなくても、『絶対に幸せにする』と言えればいいのだろうけれど、俺にはそんな自信は到底ない。 きっと、迷惑ばかりかけて、守ることも出来ず呆れられるのがおちだ。 そんなことを頭の中でぐるぐると考えながら、遠く目線の先にいる早瀬に、どう伝えればいいのかと悩んでいた。
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