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2・スクランブル
「困ったわ室長いないし…今日は会議で出てるのよ。咲夜さん、指揮を執ってくれる?」
「わかりました。すぐにヘリが本部の屋上にやってきます。雷はクロとシロのケージを本部屋上まで運んで!今すぐよ!美月ちゃんはそれをサポートして!」
「了解!」「ハイ!」
と答えて二人はクロ達の所に駆けて行った。
「ヘリへの搭乗は2名、レイさんと七海で行って下さい」
「ハーイ!」
と言いながら七海は伸ばした腕をぶんぶん振り回しながら、嬉しそうにロッカールームに駆けて行った。
レイは、
「あのう、アリスも一緒にいいかしら…?」
と聞いてみた。
「重量制限がありますが、子どもだし問題ないでしょうが…何かあっては困りますけど…」
「大丈夫!私が見ますから。じゃあOKね!」
と言ってレイは無理やり決めてしまった…。
(イヤ、本当はそいういうことではないのですが…)
と咲夜は思ったが、敢えて言葉を飲み込んだ。
「じゃ、アリス、走って!七海は…」
と言いかけたが、七海は既にロッカールームに行っていなかったので、仕方なくレイはアリスの手を引いて本部に向かった。
ISDから本部までは、わずか100m足らずなので、普通に歩いても1分もかからない。が、アリスが一緒だとそうもいかない。
そんなことを考えていたら、ISDから七海が出てきてダッシュで追いついた。
「お姉ちゃん、アリスちゃんも一緒に?」
「そうよ。七海、おんぶしてくれる?」
「わかったー!お姉ちゃん!」
というが早いか、アリスをふわりと背中に乗せ、今まで走っていた速度と同じ速度で本部に駆けて行った。
「わぁ~~~~~~~~ぃ!」
アリスの喜んでいる声が尾を引いて残った…。
「私にはあんなのはもうムリね。歳を取ったものだわ…」
と独り言を言いながら、レイはトコトコと駆けて行った。
レイが屋上ヘリポートに着いたとき、既にヘリも来ていて、クロ達も雷と美月が乗せ終わったところだった。
「スタンバイ・オーケーよ!お姉ちゃんヘッドセットを付けて!」
「テイク・オフ」
レイがヘッドセットを付けるなり、機長の声が入った。シートベルトは七海が付けてくれていた。アリスはクロ達の横でゴキゲンだ。
「何かあったのか?ヘリが来たみたいだけど…」
室長が気になって聞いて来たのでレイは、
「鏡川で子どもが流されたみたい。今から飛ぶとこよ」
「あれー?パパー?私もママと一緒だよ!」
「なっ…!なんでアリスがそこにいんだ?!」
「なんとなくだけど、アリスがいたほうがいいような気がしたの」
「もう今更言っても仕方ないな。アリス、ママの言う事、ちゃんと聞くんだぞ?危ないこと、しちゃだめだぞ?」
「わかったー!」
「あとな、今オレがいる会議っての、やっても意味ねーわ。だから状況を入れてくれたら、できる指示はするから」
「わかりました。正直不安だったのよ、私」
「任せとけ、パパに!」
「パパ、カッコイイー!」
「それでな、まずはクロを通して話すとタイムラグができるから、シロとアリスが直接話すんだ。アリスはシロから聞いたことを、ちゃんとママに言えるな?」
「だいじょぶー!」
「ウン、そういうことだ。クロ、悪く思うなよ」
「あ~ら、私は仕事しなくていいからラッキーだわ」
今までのやり取りをレイは七海に伝えた。
「わかったわ!お姉ちゃん!」
「あと、水に入らないといけないかもしれないけど、水着とか着てる?」
「バッチリよ!お姉ちゃん!」
と言って、上着をパッと取ると、競泳用水着を着ていた。
「何を着ても似合うのね、この子は…」
レイは少し羨ましくなった。
「現場着きました!」
と機長が言った
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