3.ダイビング

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3.ダイビング

レイはすぐに、七海に、 「シロのケージをそのフックに掛けて!」 「わかった!お姉ちゃん!」 ヘリには元々なかったフックだが、ISDの需要が高いため、ケージ専用のフックが装備されたのをレイは知っていた。これにより、ケージを窓に固定する時に、人がずっと押さえていなくてもよくなった。 レイは 「シロちゃん、川の中の子どもを探して!」 と言った直後、アリスが、 「もう見つけたって言ってるよ?」 「どこなの?」 「あの大きな白い岩から下流に5mくらいだって」 レイは機長に向かって、 「運転手さん!あの大きな白い岩の下流5mに近づけて下さい!」 と叫んだ。機長は、 「了解!(ン?運転手さん??)」 と言うや、いきなり急降下して指示通りの場所にホバリングしながら止まった。 その前に七海が、 「行ってくるね!お姉ちゃん!」 と言いながら飛び込んだのは、ヘリがまだ急降下している最中だったから、高さは15m以上はあっただろう。 七海がヘリから飛び出した瞬間に、川を捜索している人たちから、 「おおおおーー!!」 という歓声が聞こえてきたほどだ。  それだけ七海のダイビングは高く、ダイナミックで美しかった。  次に七海が浮上した時には、小さな子どもを両手に、立ち泳ぎで水面よりかなり高く掲げていた。この時の七海の写真が、翌日の朝刊の1面にデカデカと載ることになるし、どこかでスマホで撮ったのか、七海がダイビングするところから子どもを助け上げるまでの動画がその日の全国ニュースで流れることになる。  子どもが岸に上げられた時は既に救急隊が待機していたので、すぐに病院に運ばれて助かったということだった。  本部長は、またISDが活躍したところを全国版で流してくれたので、さぞ鼻が高かったろう。
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