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プロローグ
部屋に薄明るい光が差し込んでいる。彼は鏡を見つめた。鏡にはアメリカ連合宇宙艦隊の制服を着込んだ男が映っていた。
彼の名はサイラス・モーガン。アメリカ連合宇宙艦隊の中将である。
短く切り揃えられた茶色の髪の毛。威厳のあるはしばみ色の瞳。
彼は45歳という異例の若さで中将の位を掴んだ。今までに勤務した戦艦は10を越える。現在はアメリカ連合宇宙艦隊の中でも最新艦の、インディペンデンスR-SSの艦長として名を連ねていた。
アメリカ連合は今、ロシア帝国同盟と戦争をしている。この戦争が始まったのは今から200年前。戦争の発端は、本当になんでもないことからだったようだが、今やその訳を知るものは皆無だった。
ただただ戦争をすることが義務のように、アメリカとロシアは、周りの国々を巻き込んでひたすら戦い続けていた。
その結果地球は疲弊し、汚れた海と荒野が広がる星に成り果てていた。今や青い星地球などという言葉は死語になっているといえた。
ここ数年というもの、地球の周りはアメリカ連合とロシア帝国同盟の戦艦がびっしりと取り巻いており、以前には行くことができた月や火星にも、今は資源の調達に行くどころか、避難することすら難しくなっていた。
しかしここ3年、地球の資源を使い果たした両国は、武器の使用もままならず、戦争は小康状態になっており、小さな小競り合いはあるものの大きな戦いは行われていなかった。
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