孤月

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孤月

ぱちん、ぱちん。爪を切る。私だったものが切り離される。細く小さな弧をティッシュにまとめて捨てる。 そのままベランダに向かうと、爪の欠片と同じ形の月があった。 ベビーブルーに夜の雫を垂らした淡い空と、触れただけで割れてしまいそうな白い光。 遠い思いの中、私は静かにカーテンを閉めた。
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