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私は何のことかわからず、首を捻る。
「それ、キミの着ているその服だよ。なかなか可愛らしいだろ?」
私は、自身の格好を確認した。ジャマイカ柄のセーターを着ている……。
「さっきも言ったけど、いきなり全裸で生活するのは恥ずかしいでしょ? わたしの心遣いだけど、礼とかはいらないからね」
こ、この人、なんて気遣いが出来る人なの……。
……っていうか、お尻は丸見えじゃない! 片手落ちだわ!
「じゃあ、気をつけてね。猫の世界で生きて行くのも大変だと思うけど、キミは器量よしだし、きっとどこかの人に可愛がってもらえると思うよ。お尻もかわいいし」
やだ、見ないで!
キャー。
病院を出ると、夜も更けていた。小洒落たショップが立ち並んで、昼間は若者で賑わっている街なのに、人はまばらだった。でも、閑散としていたことは、却って好都合だった。
医師にああ言われてから、スース―するお尻が気になって仕方がない。
私は、ビールケースが積まれた路地裏に身を潜め、助けてもらえそうな情報を探そうと、背中のスマートフォンをくわえて、ポケットから引き抜いた。
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