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抗議の目で睨んでいると、青木君は、頓狂な顔をして、私の背中に手を伸ばしてきて、ポケットの中のものを抜き取った。
「あれ? 何、コレ?」
そうだった。それがあったわ。忘れてた。それを見せれば、説明が早い。
「キミは、あたりめが好きなんだね、ジャマイカ」
そっちじゃないって、アオキ!
「……って、そんなことはいいか。それより、なんで、キミがスマホを持ってるんだ?」
青木君は、あたりめの袋とスマートフォンを持ち替え、私の目の前に、スマートフォンの画面を向ける。興味津々なのか、勢いよく鼻息がかかる。
「ひょっとして、暗唱番号とか、打てたりするの?」
スマートフォンには、ロックを解除する画面が表示されている。私は、肉球で数字をタップする。
「マ、マジか!? スゲーな、ジャマイカ!」
今や、青木君の中では、私は、ジャマイカ。
スマートフォンの中を確認して、早く、私があなたの先輩だって気付いて。
私のスマートフォンを操作する青木君を見て念じていると、青木君の顔色がみるみる変わった。
「キ、キミは、ひょっとして……」
「にゃあん。にゃおん、なん」
(須藤沙羅よ)
「ま、まさか……そんな……」
青木君が、青ざめていた。
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