2.飼い猫になりたい

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 抗議の目で睨んでいると、青木君は、頓狂な顔をして、私の背中に手を伸ばしてきて、ポケットの中のものを抜き取った。 「あれ? 何、コレ?」  そうだった。それがあったわ。忘れてた。それを見せれば、説明が早い。 「キミは、あたりめが好きなんだね、ジャマイカ」  そっちじゃないって、アオキ! 「……って、そんなことはいいか。それより、なんで、キミがスマホを持ってるんだ?」  青木君は、あたりめの袋とスマートフォンを持ち替え、私の目の前に、スマートフォンの画面を向ける。興味津々なのか、勢いよく鼻息がかかる。 「ひょっとして、暗唱番号とか、打てたりするの?」  スマートフォンには、ロックを解除する画面が表示されている。私は、肉球で数字をタップする。 「マ、マジか!? スゲーな、ジャマイカ!」  今や、青木君の中では、私は、ジャマイカ。  スマートフォンの中を確認して、早く、私があなたの先輩だって気付いて。  私のスマートフォンを操作する青木君を見て念じていると、青木君の顔色がみるみる変わった。 「キ、キミは、ひょっとして……」 「にゃあん。にゃおん、なん」 (須藤沙羅よ) 「ま、まさか……そんな……」  青木君が、青ざめていた。
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