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「本物の聖女さまはもっとすごいわ。それより、マイクもボブも、あんまり無茶なことはしないでね?」
「「はーい!」」
勢いのよい返事をして、少年たちは教会から走り去った。
マリーナはそんな彼らの背中を見送って、水やりに戻る。じょうろから注がれる水が光に反射して煌めいた。
故郷で両親と5人の弟妹と共に貧しい暮らしを送っていたマリーナだったが、聖女候補を探す神官によって王都へと連れて行かれたのは数年前のこと。
残された家族には莫大な金貨が支払われた。彼らは一生食べるものに困ることはないだろう。マリーナにとってそれはせめてもの救いだった。
聖女には選ばれなかった上に、故郷へ帰ることは許されなかったからである。
(教会での暮らしはなかなか悪くない。どこでもそれなりに楽しめる性格でよかった)
水やりを終えたマリーナは教会の脇にある白い平屋へと向かった。ここは、教会に勤める人々の住まい――寮のような建物である。
たっぷりと光の差しこむ食堂に、探している人物はいた。
「先生、終わりました」
「ありがとうございます」
先生と呼ばれた白髪の紳士は本を読んでいる手を止めて眼鏡を外し、マリーナを見た。
この教会の神父であり、マリーナの親代わりでもある。
神父は彼女の後ろへ視線を向けた。
「おや、来ましたね」
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