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プロローグ
コポコポと水の中から空気が浮かぶ音がする。
ユラユラと水面の光が天井に反射して、自然な海を引き込んでいるから時々、大きな波が立つ。
幾つも並んだ水槽の中で気持ち良さそうに泳ぐ魚達。
海辺の研究所の半地下になっているこの部屋は、打ちっぱなしのコンクリートの部屋で、薄暗く海の音と潮の匂いがする。
直接、海を引き込み、部屋の中央に細長いコの字型に床が抜けている。
外の海と下で繋がり、小さな魚は入って来る。
時に見かける魚を網で捕獲しては観察したり、飼育に加えたりする為で、小さな水族館の様なここがお気に入りだった。
もう一つ、ここに来る理由は大好きな人に逢えるから。
いつか言えたらいい、この気持ちを。
相手にも嫌われていないのは分かる。
何処まで好かれているかは分からないけど、可能性は……あると思う。
高校を卒業したらもう少し大人に見てくれるかもしれない。
高校卒業まであと4ヶ月。
クリスマス前の学校終わり、私は真っ直ぐに地下のその小さな水族館のドアを静かに開け、鉄の階段を静かに降りた。
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