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 聞きなれた電車の音に目を開ける。どうやら駅のホームのようだ。  私はどうなったんだろう。いつもの癖で俯くと、白く長い足が目に入った。    私は階段を駆け降り、女子トイレへと向かう。入り口の近くにある全身鏡に飛びついた。 「……すごい」  思わず呟いてまじまじと鏡を見る。  ぱっちりした二重に長い睫毛、モデルのように通った鼻筋、白くて艶々の肌、薄いのに色気のあるピンクの唇。  明るい茶色の髪は肩の上でくるりとカールして、動くたびに踊るように跳ねる。  寸胴で樽のような体型とは正反対の、くびれのある細い体。  太くて短い足が嫌で、ずっと制服のスカートを長くして履いていた。でも、今ならミニスカートの方が似合うんじゃない?  くるくるとスカートのウエストの部分を折り、膝上まで丈を短くする。うん、これで良し。私は鏡の中の自分に微笑んだ。
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