お姉様なんか死ねばいいのに

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お姉様なんか死ねばいいのに

「ラディエル様、わたし欲しいものがあるの」 わたしは、ラディエル様の腕に絡みつき 上目遣いをする。 ここは、クラウディア王国。 わたしは自国の王太子レオンハルト様 との結婚を夢見ていた。 だってものすごい美男子だって聞いたんだもの! けれど、顔に火傷があると知り、 わたしは縁談を取りやめ、クラウディア王国に 旅行に来たときにたまたま知り合った王子、 ラディエル様とよりを戻していた。 このままいけば婚約も夢ではないだろう。 ラディエル様は綺麗な赤い瞳を細めた。 「もちろん、君のためなら喜んで買ってあげるよ。 何が欲しいんだい?」 「やった!! ドレスよ。ローズの新作ドレスが欲しいの」 ラディエル様は優しく笑ってわたしの頭を撫でた。 そんなところも素敵。 ラディエル様はルビーのような瞳に 灰色の髪の美男子だ。 リリアナお姉様の婚約者の王太子よりも。 クスッと笑う。 「どうしたんだい?エレン」 前を歩いていたラディエル様が振り返ったので わたしはにっこり笑って駆け寄った。 「いいえ、何でもありませんラディエル様っ!」 お姉様は今頃どうしてるのかしら。 いつものように泣いているかもしれないわね。 そう思うと楽しい。 お父様はわたしやお母様のことを愛していない。 いつもお父様の視界にいるのは亡くなった妻の 残したお姉様(リリアナ)だけ。 お姉様はそのことにも気づいていないようだけれど。 いっそのことお姉様が死んでくれたら お父様は私たちを見てくださるのに。 あぁ、いけない。 今日はデートの日なんだから楽しまないとね! 「ラディエル様、愛してますよ」 わたしはラディエル様の頰に口付けた。
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