何かが壊れる音がした

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何かが壊れる音がした

何かが壊れる音がした  —どういうこと?何してるの⁉    ああ、ごめん、少し説明が長くなるんだけど。  昔、魂のあり方を箱、器であると考えた人達がいて、この箱というものは、古典制御理論でいうところの伝達関数に当たるものなんだけど。  伝達関数は、入力と出力の割合からその中身を調べる方法がある。  それでその人達はこんな実験を行ったんだ。  多くの人間に色々な出来事を、その、入力、して、そこで人間が出力した言動を、データにとる。  その頃、労働者不足だったこの国は、そのデータから人間の見た目をしたロボットを作り、労働者として利用するようになった。  人間と同じ見た目、同じリアクションをとるもんだから、人間は、誰が人間で誰がロボットか分からなくなってしまったんだ。  —だから、何だっていうの?  だから、知らないうちに周りはゾンビだらけだった。  もう何回も聞き飽きたよ、そのリアクションは。  おかしくなりそうだ。  だから全部を破壊している。  今度はお前の番だ。
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