何色が一番好き?

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 優太たちが、おばあちゃんの家に遊びに行った日からちょうど一ヶ月後、その電話がかかってきた。電話を切ったお母さんは、優太の目線までしゃがんで、ゆっくり話し始めた。 「あのね、優くん。さっき弘樹おじさんから電話があってね。……おばあちゃんが……おばあちゃんが亡くなっちゃったんだって…」 「なくなった、って…?」  最初はどういう事だか分からなかった優太だったけれど、お母さんの泣き顔を見て、とても良くない事が起きたのだとすぐに分かった。 「死んじゃったのよ……」 (死んじゃった? どうして? おばあちゃん、ぼく、まだ一番好きな色を答えていないのに。待っててって言ったのに。どうして?)  おばあちゃんは、優太の“もう少しだけ”を、もう待つ事が出来なくなったのだった。
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