言葉が持つベクトル

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 矢印「 → 」が右を向いていると、図の右側に視線を誘導できる。  試しに上向き矢印「 ↑ 」を壁にたくさん貼っておくと、通る人が上をみる。  矢印に見えない力が働いているので、外の空間に働きかけるのである。  30年近く前、テキストで絵を描いて広告に添えたり、メールマガジンの装飾をすることが流行した。  自分もたくさん作品を作った覚えがある。  クリスマスツリーとか、エンボス加工で凹んでいるように見える絵とか、思ったよりも豊かな表現ができた。  そんな中で、矢印のベクトルが重要な役割をした。  「 > 」とか「 \_\_\_ 」で右に視線を誘導するサインをよく作った。  言葉の意味にもこのような作用があって、言葉自体に書かれていないことに目を向けさせることができる。  形容詞があると、続く名詞がいらないこともあるし、省略した方が多くの言葉を連想させることもある。  小説を描くときには、わかり切った展開や冗長な部分を1ページ分くらい省略することもある。  ストーリーがそちらを向いていれば、書かなくても想像できる部分だからである。
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