9-1 水着の季節がやって来る。

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9-1 水着の季節がやって来る。

「は~い、それじゃあ今日の会議はここまで~。会長への報告は副会長のおれからメールで送っとくね~。以上。あとは各自で~」  五十鈴センパイのゆる~い挨拶で、この日の生徒会執行部の定例会議は終わりを告げた。 「あ、副会長。備品の相談なんですけど」 「ん~? なになに~?」  庶務の萌絵ちゃんがセンパイに相談を持ち掛ける傍ら、会計の八雲が神妙な面持ちでこっそりオレに問うた。 「あの副会長が出席して、しかもちゃんと仕事しとるなんて……花鏡、一体何したんや」 「何って、別に……」  としか言い様がない。八雲がオレにそんなことを訊くのは、生徒会室にやって来た五十鈴センパイの第一声が「やっほ~、トッキー。約束通り、キミに逢いに来たよ~」だったからだろう。  約束ってのは、昨日電話でオレに会いたいから会議出席する的なことを言ってた件だろうけど……まさか本当にそんな理由で来た訳じゃないだろうし、やっぱり何処まで本気なのかよく分からない人だ。 「会長が休みで居らん時にってのも、ドンピシャ過ぎて怪しいな。実は副会長が下剋上を狙って会長に毒でも盛ったんちゃうか」
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