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その相手こと書記の四ノ宮が、タイミングを計ったように席を立った。
「トキさん、お話していたものはちゃんとお持ち頂けましたか?」
――来た。
「一応……持ってきたけど」
反射的に身構える。オレの返答に、四ノ宮は花が綻ぶように可憐に微笑んだ。
「良かった。それなら、この後お時間頂いてもよろしいですか? 水泳大会の広報用の水着写真……撮っちゃいましょう」
やっぱりな……そんなこったろうと思ったぜ!
四ノ宮からは予めメッセージで、水着を持って来るよう指示を受けていた。一体どういうことだと首を傾げていたが、被せるように今日の生徒会の議題が〝七月開催の水泳大会について〟だったもんだから、途中から薄々コイツの目的は察していた。
「えーと、その……今日じゃなきゃダメか?」
「今日だと何かご都合が悪いのでしょうか」
眉を下げる四ノ宮。一見気遣わしげな表情なのに、何故か圧を感じる。 オレに拒否権などというものは、最初から与えられていない。
「ちなみに、撮影はここで?」
「ここだと皆さんの目も有って、トキさん緊張してしまうでしょう? 空き教室の方に移動しましょう」
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