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つまり、二人きり。水着で、四ノ宮と。そんなの、絶対また何かされるに決まってんじゃねえか!
視線が会長席に向かう。九重なら、何となく水着の撮影なんて止めてくれるような気がした。けど、そこは本日空席だ。まさか、四ノ宮は九重の不在を見越して今日に持ち掛けたのか?
これから起こるであろう出来事の想像で青ざめていると、不意に五十鈴センパイが声を上げた。
「あ、それならおれも撮ってよー。こんなこともあろうかと、水着持ってきたんだー」
言いながら、唇に人差し指を立ててウインクしてみせる。それがモデルばりにバッチリ決まっているから、確かに被写体の立候補は自然なように思えるけど……もしかしてセンパイ、おれのこと庇ってくれてる?
四ノ宮は一瞬だけフリーズした後、恐縮した調子で返した。
「いえ、副会長の手まで煩わせる訳には」
「ううん、全然~? 写真撮影なんて、楽しそうじゃ~ん。ねっ、トッキーもおれと一緒の方が緊張しないでしょ?」
「え? まぁ……」
「はい、決まり~」
強引に決定が成された。途端、ずっとぷるぷる何かを堪えていた様子の萌絵ちゃんから、遂に奇声が飛んだ。
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