1-1 神に愛された男

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「髪も。本来黒曜石みたいに混じりっけのない黒で綺麗なのにな。勿体ない」 「やだよ、陰気くせーじゃん。てか、子供扱いすんなし!」  むくれながら軽く手を払うと、タカは「悪い悪い」なんて全く悪びれた風もなく楽しげに笑った。  小さい頃からずっと一緒だったせいか、タカはオレのことを今でも幼い子供みたいに思っている節がある。オレのことになると、めちゃくちゃ過保護。面倒見が良くて良い奴なんだけどな。オレはもう立派な高校生だぞ!  ちなみに、このクラスは席が名前の順なので、『風見』のタカと『花鏡』のオレは近い。オレがタカの前。今も各々の席に着きながら、オレが後ろを向いてタカと話している構図な訳なんだが……。目に付くのは、タカの後ろの空席。ここの主がまだ来ていない。  始業前だ。他にも空いてる席はいっぱいあるけど、オレが気になるのはその一席に関してだけだった。  何故なら、ここにはオレの天敵が来るのだ。  そう、神に愛されしスーパーパーフェクトなオレ様にも、一人だけ敵わない奴が居る。  ……いや、敵わない、じゃない! オレだって負けてない! ただ、鼻持ちならない嫌いな奴、ってだけだ!  まだ来てねーな。いつ来るんだ、なんて忌々しい気分でその席にチラチラ視線を送っていると、次の瞬間。入口の方から歓声が上がった。――来やがったな!
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