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文句の言葉は、途中から喘鳴に呑まれる。九重は今度は突起ばかりを執拗に責め始めた。あくまで洗っているだけ――そう主張するように、抓りはせずに。優しく、ぬるぬると、指の腹で撫で回す。肌の上で泡がぱちんと爆ぜた。ぞわぞわっと腰が浮いて、オレは慌てて奴の手を掴んだ。
「も、もういい! 後は、自分で洗う!」
「分かった」
予想外にあっさり了承されたので、オレは虚を衝かれて九重の顔をまじまじと見上げた。
「じゃあ、後は自分で洗えよ。ただし、スポンジ禁止。……ちゃんと洗えてるか、見ててやるよ」
「へ? こ、ここで?」
「ここで」
「見てる」――その宣言通りに、九重の琥珀色の瞳は、じっとオレを捉えて離さなかった。
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