2-9 視られただけで ◆

5/7
前へ
/627ページ
次へ
 だけど、身体は言うことを聞かない。オレがそこを擦る度――違う、洗っているんだ――オレの雄は張り詰めて固くなっていく。その様を、まじまじと九重が観察している。絡み付く視線。見るな。見るなよ、こんなところ。九重に見られてると思うだけで、何だか――。  不意に先端から、石鹸とは違う白いものが滲み出した。それを、サッと泡で覆い隠す。  もういいだろ。もう許してくれ。軽く全体に泡を擦り付けると、オレはまだ腫れたままの自身から手を離した。 「終わり、だ!」  終わりだろ? 乞い願うように宣言する。しかし、九重は首を縦には振らなかった。 「まだだろ? 一番綺麗にする必要のある場所が、ちゃんと洗えてない」 「はぁ!? どこだよ!? 全部洗っただろ!?」  顔なら、歯磨きの後に洗っている。残っている箇所なんて、どこも――。  考えていると、九重が斬り付けるように告げた。 「脚……開け」  一瞬、何と言われたのか分からずに硬直した。数秒遅れて理解が及び、血の気が引くのを感じる。 「なっ、なんで」 「いいから、開け。命令」 「ぐっ……」
/627ページ

最初のコメントを投稿しよう!

257人が本棚に入れています
本棚に追加