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こうして始まったそのケインの話は、よくあるどころか、面白くもなんともない無駄話だった。
「ありゃあいつだったか、朝方、俺ゃあ、めちゃくちゃに便所に行きたくって目が覚めた」
ウィットのかけらもなく、ただ下品なだけの、しかもおそらく作り話だ。
「そのとき、爆撃が始まっちまったんだよ」
だが、その話は、無性に私の心に染みた。
ケインがなんとか時間を稼ごうとしているのがわかったからである。私を心から親身に思って、引きとめてくれているのがわかったからである。
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