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あと少し時間があれば
青戸高等学校バスケ部3年、
中野上 亨は、
試合終了後、呆然とした。
これで亨の夏は終わってしまった。
仲間と共にインターハイを目指した。
あと少し時間があれば、確実に勝利する
ことができてインターハイにも行けた。
「お前のせいじゃない」
キャプテンの花岡 直之は、
亨を慰めた。でも、亨のショックは大きい。
残り1秒だった。本来ならブザービーターで逆転
できるはずだった。亨から直之にパス。直之が
シュートして入れる。これが戦略だった。
「……ごめん、俺何やってんだよ」
亨は直之にパスをしようとしたが、完全に
初歩的なミスをしてしまった。直之にパスの
はずが相手のチームにパスしてしまった。
これで終わりではなく、相手チームは
残り1秒ということもあり、センターラインから
シュートを放った。これが偶然にも入ってしまった。
ブザービーターだった。
98-99
1点差で負けた。完全に亨のパスミスだ。あと1秒。
この1秒はバスケでは凄く大事になる。その1秒を
無駄にしてしまった。
もう少し時間が欲しかった。あと少し時間が
あれば、あの時のパスミスもカバーできた。
もう少し時間があれば……
亨は後悔しかなかった。
最後の夏は悔し涙で終わった。
「本当にごめん……」
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