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第二章『10時10分』
・・・・・・
一方、その頃。
市後の運転で出発したナオ&トモはものすご~く気まずい状態にあった。
「あの~、組長」
「ちょっと静かにしてろ。10時10分、10時10分・・・」
「だからですね、組長」
「うるさい、黙ってろ。10時10分、10時10分・・・」
遅い。
遅すぎる。
スピードが。
これじゃあ、徒歩で行った方が早いんじゃないだろうかと思うぐらい。
てか、さっき三輪車の男の子に抜かれていったのは気のせいですか?
しかもずっと呪文のように10時10分と唱えていて、少しでも話し掛けようものなら怒られるし。
二車線だからたまにのクラクションで済んでるけど、これがもし一車線だとしたら大渋滞間違いなし。
想像しただけでもゾッとする。
ハンドル握って性格変わる人ってたまに聞きますけど、こんなものすごい慎重になる人なんて初耳です。
「組長、俺らやっぱ歩」
「おとなしく乗ってろ。ちゃんと事故らずに連れて行ってやるから。10時10分・・・」
そりゃあ、事故らないでしょうよ。
むしろこのスピードでどうやって事故るんですか?
市後組の中では唯一肥後だけが市後の運転する車に乗ったことがあった為、今回の悲劇?を容易に予想できたのだ。
果たして、市後の運転する車から解放されなかったナオ達が無事に焼き立てのパンをゲットできたのかどうかは皆さんのご想像にお任せします。
〈おわり〉
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