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「何だよ」
蓮がわざと拗ねたようにそう言うと
「樹木葬ってさ」
また あの話が戻ってきた。
「指輪くらい一緒に埋めてくれるのかな?」
「さぁ……どうなんだろう」
広実は少し考えた後、ニッコリと笑う。
「どっちでもいいか。俺たちが土になっても宇宙ゴミになっても、これを探せば確実に蓮に会えるんだよな」
悪酔いする、なんて暴言を吐いたくせに、自分はまた そんなこと言ったりするんだ。
「広実。どっちが先に逝っても、同じ樹の下で寝てくれる?」
暴れ出すのを覚悟して、跨った足に少し力を入れた。
ところが相手は、キョトンとした顔で蓮を見上げる。
「今さらか?当たり前だろ。これと一緒に二人で生きて、命の終わりがきたら これと一緒に二人で眠ろう」
ーーずるいな、本当に。
煌めく銀色を、広実のものにそっと絡ませた。
「離れないよ、ずっと」
「そうしてくれると嬉しいなぁ。蓮が傍にいてくれないと 俺は熟睡できないかもだし、やっぱり蓮の顔を毎日見ないと俺は」
「お誕生日おめでとう。大好き」
再び始まりそうな照れ隠しを遮って、蓮は広実が悪酔いする言葉とともに唇を塞いだ。
〜指輪と眠ろう〜
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