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『どっちが先に逝っても、同じ樹の下で眠ろうな』
これが愛の言葉だと気づくのに、一分は経過した。
『何で黙ってんだよ。嫌なの?』
蓮の頭を優しく往復していた広実の太い指が、不機嫌そうに止まる。
『嫌じゃないけどさ……もっとわかりやすい表現してよ』
『あれか、"一緒の墓に入ろう"とか?んなの、二人とも死んだ後 誰が供養してくれんだよ。墓はいらない、樹木葬って決めてんの』
『いやだから、葬り方の問題じゃなくて。もっとこう……甘い表現が良かったな、って』
『かなり甘いぞ!同じ樹の下で、土に還ってもずっと眠ろうなんて!あー、まぁ地球が爆発したらバラバラになるのかもな。そん時はそん時で、宇宙ゴミになったとしても一緒に銀河を彷徨うってことで』
一気に捲し立てるのは、広実がかなり照れている証拠だ。
内容は訳わかんないけど。
ストレートに伝えてくれて いいんだよ?
樹の下でも銀河でも、広実とは永遠に離れないって決めてるんだから。
照れが高じて漫談みたいになってきた恋人に、蓮はあることを思いついた。
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