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悩みながらも蓮がやっと意を決し、ジュエリーショップを訪れたのは誕生日前夜。
ショーケースに並ぶ夥しい数の指輪にクラクラしながら、ふっと目に留まったのはストレートデザインのプラチナリング。
あ、これ、シンプルですごく良い。
別に宝石なんかついてなくてもいいし、何より広実とまったくお揃いのデザインだというのが嬉しい。
値段……この中では安い方だけど、二個買うとなるとかなりの出費になる。
いや、永遠の愛の証のため、これまで以上に仕事に励むことにしよう。
思い切って店員に声を掛け、すぐに購入したいのだと希望を伝える。
蓮の指は男性にしては華奢で、リングゲージで試してみるとかなり小さなサイズだった。
あとは広実の指輪を買いたいだけなのに、店員は当たり前のように 蓮の物よりさらに小さなサイズを勧めてくる。
何故 マリッジリングを贈る相手を"女性"だと勝手に決めつけるんだろう。
蓮の大切な人は、その太くしなやかな指で 柔らかく自分に触れてくれる男性なのに。
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