指輪と眠ろう

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「広実ってば、おめでとうくらい言わせろよ!」 「いい!蓮からそんなの聞いたら、悪酔いする!」 「悪酔いって何だよ!せっかくの誕生日なんだから、言わせてくれてもいいだろう!」 夢見心地の蓮は、お返しとばかり 愛する人に指輪をはめようとしたのに、照れが頂点に達して己を見失ってしまった広実に拒否された。 それでもどうにか押し倒し、抗ってバタつく左手を無理やり奪い 薬指にリングを押し込んだ。 せめて誕生日のお祝いと、決してあなたから離れないという誓いの言葉を伝えたいのに、真面目な顔で広実を見下ろした途端にこのザマだ。 まったく、ムードもへったくれもない。 甘い雰囲気は束の間で、結局 元の広実に戻ってしまった。 ……これはこれで、いいのかも。 あれだけ糖度を求めていたくせに、そんな風に思える自分がおかしくて 笑いが込み上げてくる。 だってほら、二人には甘さの染み込んだ指輪があるんだ。 何か喋っている広実を放置して、彼に跨ったまま 蓮は左手薬指を蛍光灯に翳した。 銀色の煌めきを堪能していると、下からおずおずと腕が伸びてきて お揃いの銀色が重なり合う。
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