3.何故か嫌いな同期(=推しキャラの声優!)と、デートをしなくてはならない件。

2/22
前へ
/205ページ
次へ
 さて。読者諸君が選んでくれた、おでん屋『きよちゃん』に向かった。(というより連行された)  紗々の最寄り駅、新御徒町駅からつくばエクスプレスに乗り、南千住駅で下車。駅を背にほぼ西へ歩くと、すぐに南千住仲通り商店街の入り口に着いた。商店街をしばらく歩き、中の路地を少し入った所に目的地はあると聞いた。  普段あまり来ない雰囲気なので、降り立って始終キョロキョロした。昭和感の漂う街並み。うん、オタク臭のする秋葉原とはまた違う独特の雰囲気。いいなあ。こういうの好き。  閉店しているが、豆腐屋や和菓子屋もある。中華屋もラーメン屋もあって、とてもいい匂いが。 「たしかこの辺だったと・・・・あ、あった!」  ラーメン屋を過ぎ、すぐそこの角を曲がって、三軒先の店が目的地だった。  -おでん居酒屋・きよちゃん- と書かれた黄色の看板に、黄色のビニールテント。ふっるいお店だぁー。こんなところが本当に美味しいのかな?  昔ながらの店によくある、横開きの田舎のベランダにあるみたいな不透明なすりガラスの銀色の扉を開けると、見知った顔がすでにカウンターの一番奥に座っていた。 「あ・・・・あの人たちって・・・・」 「尾田さんじゃないですか。どうも。早速来ました」  尾田さんと呼ばれた背の高い男性ともう一人、見知った女性が一緒にいる。あの人は――通販部のお局、諏訪(すわ)さんだ。
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2216人が本棚に入れています
本棚に追加