推しのアニキャラ声優が、実は嫌いな同期で私を溺愛してきます！【完結】

３．何故か嫌いな同期（＝推しキャラの声優！）と、デートをしなくてはならない件。

　
「おぉ。石井か。早速ここに来てくれたんだ。嬉しいよ」

　人事部に所属の尾田昭一郎（おだしょういちろう）さんは、確か私と同じ二十九歳。卸事業部のリーダーを任された、元営業部のエース・神保要（じんぼかなめ）さんとも同期って言っていたから、順当な入社だとすれば、私も石井も地味に同期って事になる？
　正直部署が違うから、全然興味ないし知らなかった。今ここで知った事実だね。

　随分ややこしくなってしまった関係性を整理しよう。

　今、私の横にいる石井は、尾田さんが企画・立ち上げた卸事業部に所属している。今年の十月頭から新設された部署だから、ここに元営業部の神保さんがリーダーとして入り、その下に石井が就いた、と。そういう事だよね？　だから関西に行っていたのに、先月末くらいにこっちへ戻ってきた、と。

「いい雰囲気の店ですね」

　石井はちゃっかり尾田さんの横に座り（といってもこの店は狭く、カウンターが六席しかない）話を始めてしまった。

　あ。そういえば一週間くらい前に、尾田さんと諏訪さんは入籍したって発表していた気がする！
　同性が二人もいると呼び名がややこしいから、尾田千恵子にはせずに、諏訪千恵子のままで紗々では通すって言っていたっけ。

　今ので私もなんとなーく人間関係模様が解った。整理って大事だね。