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「ここの店、何でも美味いから。半田さんも是非、好きなの食べてみて」
尾田さんがメニューを石井じゃなくて私に見せてくれた。結構レディーファーストしてくれる。身長も百九十センチくらいある長身で、イケメンエリートと称されている尾田さんは、座高も高い。長い腕を石井の後ろから伸ばし、竹輪おススメって言ってくれた。
おでん以外にも色々なメニューがある。
茶色の木製カウンターから手を伸ばせば届くくらいの位置に、様々なおばんざいが並んでいるのが目に付く。その横にある沢山のおでん。わー、美味しそう。十月も第三週となれば、寒さが引き立ってくるからね。
きょろっと見回すと店内はカウンターだけでなく、奥に座敷と思われるものがあった。衝立(ついたて)があるのでよく見えなかったが、結構広いんだなぁ。
「藍美、とりあえず何注文する?」
「えー・・・・じゃあ、尾田さんのおすすめの竹輪と、はんぺんにしようかな。あ、大根も欲しいしごぼ天も玉子も・・・・」
ううー、選べない!
オタクは何でもコンプリートしたい欲が満ち溢れる生物なのです!
「そんなに食べるのか? 藍美は結構大食いだな。じゃ、シェアする?」
「シェア!? 冗談じゃない、お断わり! 自分でコンプします」
はっ。つい、爽摩が並んでいる事を想定し、どの爽摩を選ぶかっていう頭になっていたものだから、シェアとか言われて咄嗟に怒鳴ってしまった。
石井と二人きりだったら良かったのだけれど、尾田さんや諏訪さんがいるとなれば・・・・ああ、調子狂うな。もう帰りたい。帰ってオタ友と推し語り合いチャットしたい。
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