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夜の底
まるで抵抗を許さぬとばかりに手首を腰紐で縛めてから、彼の空気が変わった。
ギラついて、どこか凶暴さを感じさせる息遣いで唇を奪われる。逃げるつもりなどないのに、執拗に口腔内を舌で舐られて喘いでいるうちに、胸は形が変わるほど強く揉みしだかれていた。緩急つけて握られたり捏ねたりする合間に、乳頭も摘まれたり引っかかれたりと弄られ続ける。
そのたびに快感は身体の中心に向かい、何度も腰がびくびくと跳ねた。
彼は、腫れるのではというほど苛んでいた唇を唇からようやく離すと、両手で太腿を押すようにして、いきなり足を割り開いてきた。
「昼のあなたからは思いもつかない、淫らな身体だ」
煽るように笑いを含んだ声で言うと、足の間に頭を沈めた。
「あっ……嘘っ……いやっ!」
驚いて叫び、縛られた手を伸ばしてその白金色の髪に指を絡めて押し返そうとするものの、力が入らずびくともしない。
止めることができず、なす術もなくされるがままになる。
彼の舌が花芯を舐め上げ、クチュクチュと水音をさせながらしゃぶりはじめた。
「ああんっ。だめっ、何をしているの」
逃れようと腰を揺り動かすと、なおさら強く吸われ、そのまま蜜を溢れさせた蜜口もざらつく舌で何度も舐められる。
「やああっ!!」
快感が断続的に襲いかかってきて、どうにかやり過ごそうとするのに、秘裂をなぞっていた舌が不意にグイッと中に押しいってきた。
肉厚な舌が蠢き異物感を伝えてくるのに、それを迎え入れた内側がひどく喜んで絡みつくように収縮してしまう。
「はあっ……気持ちよくて、いや……。こんなこと、もう、やめて……」
頭の中が白くなる。はしたないと自分を抑制することもできないくらい、腰が揺れている。
「気持ちよくなってくれて良かった。もっとたくさん喘いで、溺れてください。俺に」
ちゅっと音を立てて唇を離してから男は笑って言うと、やにわに蜜口に指を突き立ててきた。一本、続けて二本目が間をおかずにぐいぐいと押し込まてる。
「やぁ……、そんな……、んっ」
目を瞑っているのに瞼の裏がちかちかと明滅している。このままでは感じ過ぎて達してしまうと涙目になっているのに、男は容赦なく指をさらにもう一本そこにねじ込み、烈しく抽送をはじめた。
「いやっ、いやっ、強くしないでっ、お願い、お願いっ、だめっっ」
ぐちゅ、じゅぷ、としとどに溢れ出した蜜がたてる音に耳を犯されながら懇願しても、聞き入れられることはなく。
「おかしくなれば良いんですよ。快楽に溺れて我を失って乱れてください。あなたの声が聞きたい。滅茶苦茶になるまで、苛め抜きましょうか」
恐ろしいことを優しげな口調で言いう。手は休むことなく、差し込んだ指で内側を蹂躙しながら、花芯を親指の腹で撫でたり押しつぶしたりする。
逃れられない快感にたまらず悲鳴じみた嬌声をあげた瞬間、もう片方の手でギュウッと力強く胸を掴まれた。媚壁がわけがわからないほど収縮して痙攣する。
彼はそれでも許す気がないらしく、まだガクガクと震えの止まらない腰を押さえつけながら指で内側を苛め続ける。何度も何度も悲鳴を上げさせてから、不意に指を引き抜いた。
はあ、と息をつく間もなく硬いものが濡れに濡れた蜜口に押し当てられる。
くる、と思ったときにはメリメリと引き裂くような強引さで隘路に押し込まれていた。
「なんて……狭い。こんなに感じやすくて濡れる淫乱な身体なのに、ここはまるで処女のようにいとけないとは……」
感嘆の呟きをもらしつつも、ズッ、グイッと確実に奥深くを目指して肉杭を打ち込んでくる。
その圧倒的な質量と異物感によってもたらされる痛みに、喉が涸れそうなほどの悲鳴が迸った。
「痛い……痛いわ……」
「もっと力を抜いてください。俺もきつい。最後まで、全部入れたいんです」
言うなり、やや乱暴で性急な仕草で腰を打ち付けてくる。
その気になれば、腕一本で自分を抱え上げてしまうような男だ。全身が鍛え抜かれて引き締まっており、どこもかしこもも逞しい造りをしている。子どものように華奢な身体は、その責めを受け止めるだけで精一杯だ。
「ほら、ずっと奥まで、わかりますか。ああ、すごい絡みつきだ」
ぐっ、ぐっ、と押し込まれて、そのたびに悲鳴が上がり、腰が逃げを打つように跳ねるものの、片手で簡単に押さえつけられる。やがてガツンと最奥を穿たれるような感覚があった。
男はすこしだけ休んでから、ずるりと肉棒を引き出す。痛みにクラクラしているというのに、逃すまいとするかのように膣壁がわななく。男もそれを感じでいるかのように、すぐに強く押し込んでくる。
「だ、だめ……」
痛いのに気持ち良い。
「もっと乱れて」
残酷なことを言いながら片足を持ち上げられ、男の肩にかけられる。すでに手も縛られているせいで、どこもかしこも自分の自由にはできない。
その状態で、男は乱雑な仕草で腰を打ち付けはじめた。
「あ、あ、あ、あ、あん、んん、あっ」
言葉にならない喘ぎをもらせば、それがなおさら男を煽るらしく胸も強く揉みしだかれ、動きに沿って寝台が激しく軋んだ。
何度も何度も女を追い詰めてから、やがて「くっ」と息を飲んで、男は女の中に精を放つ。
しかし、互いの荒い息が徐々に収まり始めると、中に埋めたままのもので男は再び膣壁を擦り始めた。
「そんな……っ」
「全然足りないんです。……あなただって腰を振って応えているでしょう? こんなに深く繋がっているんです、俺を誤魔化せるなんて思わないでください」
すでに固さを取り戻したものが奥へ奥へと打ち込まれている。まるでこの機を絶対に逃すまいとするように。溢れた蜜と精液を泡立つほどに押し込めながら、男は攻めの手を緩めることはなかった。
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