1−7  愉快な下僕たち

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1−7  愉快な下僕たち

 薬草集めを終えた俺たちは王都の街中に戻った。  冒険者ギルドに行く途中、行列に並んでクレープを買い、ギルドのドアをくぐる。 少年一人、少女二人、魔獣を従えた聖騎士一人がクレープ食いながらギルドの受付へ。  クレープはめちゃくちゃうまい。円錐形の丸いところに詰まったクリームの表面がキャラメリゼされていて、甘苦くてパリパリした食感が新しい。  冒険者ギルド内の人の視線が俺たちに集まる。王都の冒険者ギルドには他の街のギルドとは違い、あんまり粗暴なやつはいない。教養とランクの高い冒険者が多くいるだけに、余計に恥ずかしい。 「依頼をいくつかこなしてきました。メインの仕事は薬草採取です。採取の途中で討伐した魔獣がいますが、依頼外の討伐になりますので回収はギルドにお願いできますか」  離れたテーブルで俺たちは待機。一人受付に向かったイケメンがクレープを頬張りながらクールに説明する。どうみても頭がイタイやつ。なんでこんなことになったかって、ジルヴァのアイデアだ。実績の少ない低ランク冒険者は無数にいるから目立った者勝ちだ、ギルドに印象つけるためにはインパクト残した方がいいって。 「あ……はい。では回収はこちらで。報酬から手数料が引かれますがよろしいですか」 「はい、もちろん。ついでに倒しただけなので」  聖騎士が爽やかに笑う。受付のお姉さんが引きつった笑顔で返す。  そのうち聖騎士団、追放されるなこいつ。  依頼完了の手続きと報酬だのなんだのを色々やって、クロスが俺らのところに戻ってきた。 「クロス、どうだった?」  王都を出るには最低Eランク。異国に行くとなればDランクだ。  クロスが複雑な顔をする。 「ナターシャは王都国立学校魔法科での成績と語学力で「案内人」でE、ジルヴァも騎士養成科での成績と今回の魔獣討伐補佐という実績をみて据え置きのE。ただし、ランクAの俺が同行であれば研修名目で異国の依頼も受けてもいい、とのことだ」 「やった!」 「やりましたね!」  ジルヴァとナターシャがガッツポーズで大喜び。 「俺は?」 「魔道士……F」  なんでだああああああああ!王都からも出れないじゃないかっ!  思わず膝から崩れ落ちた。 「待て、フィル、聞いてくれ。『Fランク』っていうのはあくまで魔道士だ。魔道士は他の職業と違ってランク上げが一番厳しいと言われてるんだ。だから秘策を考えた」 「……秘策?」  俺もうほんと泣きそう。確かにわかるよ、俺くらいの年齢の新米冒険者を王都から出せるEランクに上げたらすぐ魔獣に襲われて命落とすから。でもさ、俺北の果てまで行ったし、古代ホワイトドラゴンからも逃げ切れるんだよ。 「冒険者ギルドはそう簡単にランクは上げてくれない。命に関わる依頼が多いからな。だから冒険者ギルドの依頼じゃなく、商人ギルドの依頼を受諾することにした。俺たちの目的はガラのチョコレートケーキなんだろう?だったら別に冒険者ギルドじゃなくてもいいんじゃないかと思ってな。商人ギルドの方なら異国に行く依頼を受けるのにランク制限はないんだ」
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