もう少しだけ

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眠たい授業を必死に耐えて きつい部活を終えた後の たった一つの楽しみは あなたと話す帰り道 私とあなたは飽きもせず ただひたすらに喋ってた 道が分かれる交差点 別れを感じるその十字架が なんだかやけに寂しくて 話のオチが付いたって もう少しだけ話そうと 何度も何度も繰り返し 日が暮れるまで喋ってた 私のひそかな楽しみは 高校に上がるにしたがって 少し形を変えていく 進路を別れた私たち 一緒に下校はできないけれど たまたま出会った学習塾で 二人そろって仲睦まじく 一緒に自習をしつづけた 長く集中しつづけて 挫けそうになったとき テキストを睨むあなたをみて もう少しだけ頑張ろうと 夜遅くまで学んでた 大学生になってから 生活リズムは独立し お互い自由に過ごしてた たまに話がしたいとき どんな時間であろうとも あなたは相手をしてくれた 私は大学生活を 楽しく過ごしていたけれど あなたはそうではなかったね どんどん弱るその声に もう少しだけ側にいたいと 何度願ったことだろう 夜が明けるほど話しても あなたの朝は来なかったかな 残暑の残る秋の夜 あなたからくる着信は 自殺未遂の報告で 弱りに弱ったその声は とっくに色をなくした 無駄に生きてしまったなと 諦観しながら話すあなたに 私は恐怖を感じてた 消え入りそうなあなたの気配 どうにか留めて置きたくて ただひたすらに生きて欲しいと 私は何度も伝えてた どれだけ必死に叫んでも 返ってくるのは生返事 響く事ない会話だけ 虚しく残る夜だった ふとかかってきた着信に 出てきた相手はあなたの父 嫌な予感は的中し あなたの訃報を聞かされた 私はその場にひれ伏して ビー玉ほどの涙を流し 獣のように叫びながら 全身を使い泣き出した ぐちゃぐちゃになった頭のなかで 最後の会話を思い出し もう少しだけ寄り添って あなたの声を聞いていれば 違う未来はあったのだろうと 変わらない過去に縋りながら 私はずっと泣き続けた あなたが命を絶ってから もう3年は経つだろう 何を話していたのかは 思い出せないものだけど 必死に頑張り学んだことは ほとんど覚えてないけれど あなたが一番辛いとき 側にいてあげられなかったけれど あなたと最後に話したとき 寄り添うこともできなかったけれど もう少しだけ  もう少しだけ 一緒に生きていたかった
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