もう少し、君と二人っきりで過ごしたい。

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「……魔王ですって」 「魔王ねえ」  あっという間に、正式世界(あちら)の住人たちの中で荒唐無稽な伝承が作られていった。  神がこの世界を造り給うた時、世界を破壊する畏れのある一人の魔導師を『破棄世界』へと封じた。  魔導師は世界を恨み魔王となり、その甚大な魔力で異世界の魔女を召喚した。  魔王は魔女と共に永久(とこしえ)の楽園を作るに飽き足らず、この世界の支配も目論んだ。  かくして我らの世界と魔王の『破棄世界』が接続され、我が世界の危機が訪れようとしていた―― 「魔王と魔女を滅ぼせ! この世界を守るんだ!」  サ終して以来、すっかり鳴りを潜めていた彼らの闘争心に火がついたらしい。  彼らの中で魔王討伐がブームになってしまった。
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