もう少し、君と二人っきりで過ごしたい。

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 お茶をした翌日、早速だがサービス終了のお知らせが告知された。 「いや、タイミング良すぎない!?」  故郷(げんじつ)に戻って確定申告の手続きを済ませてきたとき、ついで見たネットニュースで知らされた。  私は転がるように破棄世界(こちら)に戻り、慌てて双眼鏡を出し、月のように浮かぶ正式世界(あちら)を覗き込む。  双眼鏡で見るだけでも、それはそれは大騒ぎだった。  突然姿が消えていく冒険者(ユーザー)と消えたクエストのせいで、彼ら向けに栄えた産業社会が崩壊している。  それはすべてサ終のせいです。  ――なんて都合、ノスタルジアファンタジアを現実として生きている住民たちは知るよしもない。  私と彼は交互に双眼鏡を覗き込み、そして顔を見合わせた。 「破棄世界は、どうなってしまうのでしょう」 「……さてね」  ――結局。  正式世界(あちら)の混乱をよそに、告知通り故郷(げんじつ)の終了予定時刻に合わせてサービスは終了した。  私は恐る恐る目を開く。  破棄世界(こちら)も、私を抱きしめる彼のぬくもりも、何も消えていなかった。 「何泣いてるのさ」 「消えなくてよかったなあって……」 「ばか。廃棄世界の僕でさえ存在し続けていたんだから、そりゃあサービス終了するくらいじゃ消えないよ」 「でも貴方も手が震えてましたよね。最後の夜だからって、あんなことした癖に」  彼は私の口を塞いで黙らせると、望遠鏡で正式世界(あちら)を確かめた。  あちらの世界も消えることなく、そこで暮らす彼らはただ突然の大不況に右往左往するばかりだった。 「ハッ、創造主に愛されてた世界があのザマだ。はしご外されたらそりゃ大変だな」 「まあまあ、あちらにとっては初めての経験なんですし慌てるでしょうよ……ってか消えないんですね、向こうも」 「『概念』として――一度世界が生まれてしまったら、消えないんじゃないかな。永久に」 「……それはそれで大変ですね」
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