もう少し、君と二人っきりで過ごしたい。

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 年月が経てば人は環境に順応していくもので。  正式世界(あちら)の世界も私達のように、創造主(クリエイター)の手から離れ独自の文化を構築し始めるようになった。  攻略しつくされたダンジョンをいかに楽しく攻略するかの娯楽が生まれた。  技術の発展によりモンスターは駆逐、調教可能な存在となり、モンスターと戦ったり飼育したり育成の出来栄えを競う娯楽が生まれた。  ぼろぼろになっていた産業も社会もゆっくりと回復していき、次第に元よりずっとにぎやかに栄えていった。  人の命が何度も循環して、あの世界で産声を上げ――それを繰り返し、どれくらいの年月が経っただろうか。  私達は正式世界(あちら)を観察しながら、せっせと破棄世界(こちら)の開発にも勤しんだ。  あちらも独自の世界を構築していくあいだに、じわじわと世界が広がっているようだった。  もちろんこちらの世界も拡張している。  そして……いつしか、私達の空間は繋がった。 「なんだここはー!」    ようこそ破棄世界へ。   「いきなり世界に新しい空間ができたぞ!!!」  そちらの基準で、千年以上前から存在してます。 「魔王だ!魔王だ!!」  ただの私と、彼です。
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