転生魔法少女は助けた王子に執着されている

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 魔物の姿を見た時、サフラは自分が前世で魔法少女だった事や前世の記憶の全てを思い出した。そこに今まで遠くからサフラを見守っていたポルがやって来て、再び魔法少女になって戦うように勧めてきたのだった。  しかし、その時のサフラは六歳の子供であり、魔法少女に変身するには身体の成長が追いついていなかった。  絶対絶命のピンチと思われた時、この国の魔法少女隊、魔法少年隊がサフラたちを助けてくれたのだった。  この世界に住む人々は百人に一人の割合で、変身能力を身につけている。  動物に変身出来る者、物に変身出来る者、異なる人間に変身出来る者など、人によって様々な変身能力を持っていた。  サフラが住むワームウッド王国では、そんな変身能力を持つ者たちを国中から集め、国を守る守護部隊である魔法部隊として重宝していた。  魔法部隊は、子供の頃は魔法少女、魔法少年と呼ばれて訓練を積み、やがて魔法部隊として国に尽くす事になる。魔法部隊に所属になると、生涯、国に尽くし、ほぼ自由が無い代わりとして、身分や衣食住が保障される。  その家族にも高額な金が支払われ、変身能力持ちの子供が二人いれば、平民でも下級貴族並みの生活を送れるようになると言われていた。その為、変身能力持ちの者は国中でも特別な存在として扱われるようになる。  変身能力を持っているかどうか判明するのは、国民が七歳の時に教会で受ける洗礼の儀式である。この時に、この国の神々の前で神の子である国民であると洗礼を受けるが、変身能力を持っていると、その場で神々の祝福を受けて顕現するとされている。  中には洗礼前に変身能力を発揮してしまう子もいるらしいが、大半の子供はこの洗礼の儀式で自らの内側に眠っていた変身能力を開花させると言われていた。  サフラが前世の記憶を思い出した時、サフラは六歳であり、一年後には洗礼が控えていた。  このまま洗礼を受けたら、自分は魔法少女の変身能力を持った魔法少女だと知られて、今度は魔法部隊として国に尽くす人生になる。そうなったら、また魔物と戦うだけの人生になるだろう。  今世でも恋人もなく、仕事と魔法少女だけをやるのは嫌だった。今度こそ、普通の女子として生きていきたい。  そう考えたサフラは魔法少女である事を隠して、変身能力を持たない普通の女子として生きていく事を決めたのだった。
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