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凛は、母親に教えてもらった通りに、赤いアネモネの押し花を作った。
アネモネは押し花に向いている花。
花びらが薄くて柔軟性があって、形がきれいに残る。
美しいのは形だけではない。
アネモネの花には透明感があって、花びらの重なりでグラデーションができ、葉も、厚みがないため、整った形で、それは、それは美しい押し花ができた。
凛は、赤いアネモネ一輪の押し花をガラス二枚に挟み、その周囲に木枠のフレームをつけた。
凛の小さな手に乗るくらい小さい押し花は、自然の咲き姿が、そのまま、フレームに閉じ込められているものだった。
「咲也くん、喜んでいただけるでしょうか」
凛は押し花フレームを両手に包み、胸に押さえつけ目を閉じた。
「神様、お願いします」
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