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……あっさりと、事態は急転した。
「あ”あ”あ”、あ”、あ”っあ。わ”ああああああああああああああああああああああああああ」
「ひっ」
突然、雄たけびをあげる【山田太郎】。
どうやら、サルテの我慢が限界を突破したらしい。
ビビる細谷がひるんだ隙に、サルテは窓を映画俳優のようにぶち破った。
――ガシャン!
「わ”ああああああああああああああああああああああああああ」
ガラスが割れる。ペットが脱走しないように、且つ防音機能に優れた、特別分厚く重い窓ガラスが、まるで紙のように呆気なく粉々に砕け散る。
【山田太郎】の姿のまま、雄たけびを上げて夜の街へと逃走する愛犬。
外から悲鳴が上がり、ややあってパトカーのサイレンが鳴り始める。
こんなに騒ぎになったのだ、言い逃れは難しいだろう。
「あ、あぁ」
細谷はゾンビのように呻いた。
下手に頭がいいからこそ、自分がこれから降りかかる事態が想像できて恐怖する。
もう駄目だ。おしまいだ。
警察が訪れるまで、細谷は頭を抱えた。
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