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序章
この誉れある場所で、リュカはどんな祝詞を奏上するのだろう。
まもなく宣誓の儀が始まる。アルダは礼拝聖堂の磨き上げられた白亜の石床を眺め、重い息を吐いた。
あたしはこんなにも意志薄弱だったのか、と思えば自然に唇が苦く歪む。
もう一度だけリュカに逢いたい。たとえこの身は龍神の放つ雷に打たれるのだと、うすうす察しがついていても。
未練がましいことこの上なかった。それでも思わずにはいられない。
せめてこの身が直氏であったなら、と。
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