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その唾液は、異常なほど垂れさがった舌の先端からも流れだしていて……。
すると、弛緩しきった暗紫色の顔面は、なにを思ったか急激にズームアップされてきて―――、
視界は彼女の背面へ戻った。
あの若く可愛らしい顔が、そんなになっている……。
あの清楚なお嬢さまが、悪臭を放ち、汚物を垂れ流している……。
―――早く見たい!
一段高くなっている教壇の側辺までくると、黒板に貼りつくようにさがる彼女の、全身が現れた。
細い両足には、スカートの中から伝っている黄色を濁らせた液体が、幾本もの筋を描いている。そしてそれは、パンプスを飛ばした爪先から滴れ落ち、床に広い溜まりをつくっていた。
うつむく横顔は、まとまりをなくした髪の毛に隠され、まだ窺えない。
だが、その細い、しかし命を落とすには充分な重さを持つ躰をふり向かせれば……。
強度を増していたトイレでの排泄直後にくる悪臭が、わたしにとっては今、興奮剤の一つにもなっていて―――。
はやる気持ちを押さえ、教壇に足をかけた。
一歩……二歩……三歩……。
彼女の横に立った両足は、そこではじめて微細な痙攣を生じさせた。
人の目を気にする意識など微塵もなかった。そもそも、こっちを眺めている者などいなかっただろう。
おそるおそる、彼女の腰部に手をかけた。湿り気と、微かに残る体温を両掌に感じる。
一本のロープで支えられている躰は、当然なんの抵抗もなく動き……。
目前に現れたスリムな腹部。純白のブラウスも彼女の体液で肌に貼りつき、素肌の色を呈している。
この上に、わたしを興奮の絶頂に導く景色が広がっているはず。―――との期待が、いやが上にも鼓動を激しくさせていた。
一度目をギュッとつむり、開けた。そうやってこれが夢でないことをたしかめたわたしは、視線を一気にふりあげた。―――途端、
「いらっしゃいませ」
ヒィッ!
とびあがらんばかりにしてふり返ったそこには、元のギャラリー内の風景の中、小柄な女の子が立っていた。
「ご挨拶遅れて、失礼いたしました」
そう頭をさげた彼女のブレザー姿の身なりは、学生と一目でわかり―――高校生?
「あ、はあ」
動悸が収まらない胸のまま、つられてこっちも軽く首肯すると、
「ごゆっくりご覧くださいませ」
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