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快感の印だった股関の湿り気は、彼女との楽しいやりとりとは裏腹に、不快さをその陰部に貼りつけていた。だから落ち着いてテーブルを挟む前に、こんなこともあろうかとバックの底に忍ばせてきた新しい下着に替えておきたかった。
「あ、すいません気づかなくて」
と駆け戻ってきた彼女は、そのままエントランスホールに出ると、入口の対面を指し示した。
そこにあった細身のドアに、ついぞ今まで気づかなかったのは、壁の黒と同色だったから、という理由だとは到底考えられず―――。しかも小さいながら、《toilet》のプレートもしっかり貼りついているというのに……。
ともかくも、首をかしげながらドアを押し開くと、そこには明るく清潔な空間が待っていた。
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