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―――が、私はいつまでたってもあれを好きになれない。
掃除などでお嬢さまの部屋に入ると、見なければいいのに、つい目をやってしまう。
あれはなぜかいつも、なにかを企んでいる―――そんな目をしているように思えて……。
今夜に限っていえば―――さっき垣間見た横顔は、まるで出窓に向かってなにかを一心に想っているようにも感じて……。
アンティークドール。
相当の年代物らしいのだが、それにしてはいつまでも古色を感じさせないところが、薄気味悪さを助長する。
その怖気が、怖いもの見たさという意識を働かせてしまうのか……。
“カチャン”
落としたナイフの皿にあたる音が、意識を引き戻した。
「いけない……」
小さく声に出し、一度頭をふると、キッチンへとって返した。
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