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次いで、窓に映った上気を収めきれない顔へ視線を移すと、囁いた。
「さあ、お嬢さまを呼びにいかなければ」
そして―――、
ごめんなさい。あなたに恨みがあるわけじゃないの。どうしても戻りたくて……。
と、久江さんに謝らなければ。―――少なくとも、ワタシを人形へ変えたあの彗星が次にやってくるまで動くことのできない、彼女に。
―――この家で、一番お嬢さまの身近にいることができて、一番長く一緒にいることができるのは、あなただったから……。
わき立ちそうになる動悸をなだめながら階段をあがり、今までワタシの居場所でもあった部屋をノックする。
「はい、どうぞ」
の声で、ゆっくりドアを開いた。
「お食事の用意が整いましたので」
―――予想以上に落ち着いた声で、お嬢さまとのはじめての会話ができた。
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